• 社長ブログ

原材料高騰時代にコストを抑えて高性能な家を建てるなら、答えは「総2階」です

結論から申し上げます。同じ延床面積であれば、総2階建てがいちばん安く建ち、いちばん光熱費が下がります。

「平屋が人気だから平屋で」「1階を広くして一部2階建てで」というご相談をよくいただきます。ただ、数字で比べると、コストと性能の両面で総2階が有利です。

新築をご検討中のお施主様から、「できるだけ予算を抑えたい、でも性能は妥協したくない」というご相談を数多くいただきます。先日参加した高性能住宅設計に関する専門セミナーでも、まさにこのテーマが取り上げられていました。理由を順にご説明します。

理由1|屋根・基礎・天井が「半分」で済む

総2階にすると外壁の面積は増えます。しかし、屋根面積・基礎面積・天井面積は、同じ延床面積の平屋のちょうど半分になります。

住宅のコストの中で、基礎工事と屋根工事は上位に入る項目です。30坪の家を平屋で建てれば基礎も屋根も30坪分ですが、総2階なら15坪分で済みます。増える外壁分を差し引いても、トータルでは総2階が明確に安くなります。

設計の世界ではこれを「外皮面積率」(外壁・屋根・基礎・窓などの外皮の合計面積÷床面積)という指標で比較します。この数値が小さいほど、少ない材料で広い床面積をつくれている、ということです。平屋、一部2階建て、総2階の順に数値は下がり、総2階がもっとも小さくなります


理由2|同じ断熱仕様でも、暖房エネルギーが約26%減る

外皮面積率が小さいということは、そのまま「熱の逃げ口が少ない」ということです。

同じ断熱仕様で比較した検証データがあります。一部2階建てのモデルと、4間×4間(約7.3m角)の総2階のモデルを比べると、床面積あたりの暖房エネルギーは10.14kwh/㎡から7.45kwh/㎡へ、約26%減少しました。断熱材もサッシも同じで、形を変えただけの差です。

さらに小さな平屋と比べた場合、床面積あたりの暖房エネルギーはほぼ半分になります。形の効果は、断熱材を数センチ足すよりもはるかに大きい、ということです。


理由3|断熱仕様そのものを下げられる(=初期コストが下がる)

逆の見方もできます。総2階にすれば、同じ性能を、より安い仕様で達成できます

一部2階建て(2階を縮小したタイプ)総2階(4間角)
外壁の断熱厚200mm150mm
サッシ樹脂トリプルガラスアルミ樹脂複合・アルゴン入りLow-Eペア(16mm)

同じ性能ランクを目指した場合、この差が出ます。壁の断熱材が50mm薄くて済み、サッシは1グレード下げられる。窓の枚数を考えれば、この差は数十万円規模になります。

「平屋や凸凹した形で、最高等級の断熱性能を取る」のは、実は非常にコストのかかる選択です。当社が総2階をおすすめする最大の理由がここにあります。

平屋ブームの落とし穴

雑誌もSNSも平屋特集ばかりですが、冷静に数字を見てください。

  • 14〜15坪程度の小さな平屋であれば、総額は確かに小さく収まります
  • ただし20坪の平屋と、25〜26坪の総2階では、総額はほとんど変わりません
  • つまり同じ予算なら、総2階のほうが5〜6坪広く住めます
  • 同じ面積で比べれば、総2階の坪単価は明確に安くなります

平屋を否定するものではありません。足腰に不安のある年代の方には合理的な選択です。ただ、30代・40代のご家族が「なんとなく平屋」を選ぶと、面積か性能か予算のどれかを諦めることになりがちです。


さらに効く「階高を抑える」という一手

もう一つ、コストと敷地条件の両方に効く工夫があります。階高(かいだか=各階の高さ)を抑えることです。

一般的な住宅の階高は2,800mm前後です。これを1階2,564mm・2階2,519mmに設定すると、建物全体で約500mm低くなります

効果は2つあります。

  • コストが下がる:外壁材、柱、階段の段数、足場面積、すべてが減ります
  • 狭い敷地に建てやすくなる:北側斜線制限に軒先が当たりにくくなり、境界いっぱいまで建物を寄せられます

天井高が2,400mmを切るわけではありません。梁の見せ方や下がり天井の使い方を工夫すれば、圧迫感なく成立します。足立区のように敷地に余裕のない土地では、この500mmが間取りを決定づけることも珍しくありません。

足立区で総2階を建てるときの実寸感覚

高性能な仕様にすると、外壁は断熱材込みで約210mm厚になります。設計時は構造芯から225mm外側に外壁面が来ると想定して配置を検討します。

  • 隣地境界から外壁面を500mm離す場合、構造芯は境界から約725mm
  • 建物の横に車を停めるには、構造芯から**2間(約3,640mm)**の空きが必要

間口2間半(約4.55m)×奥行6間(約10.9m)が使いやすいプロトタイプですが、間口2間(約3.64m)でも成立するプランはつくれます。狭小地の多い足立区でも、総2階は十分に選択肢になります。

「2階が暑くなる/寒くなる」は、もう昔の話です

総2階を敬遠される理由でいちばん多いのが、これです。たしかに、断熱性能の低い家では正しい心配でした。

実は30年以上前、1階にストーブを置き、吹き抜けで2階へ暖気を回すという試みが各地で行われました。結果はほぼ失敗です。2階に上がった空気が階段から冷やされて降りてくるため、リビングの温度ムラが激しくなってしまったからです。

ところが高性能住宅では、この方式がうまくいきます。降りてくる空気がほとんど冷えないからです。実際、1階にエアコンを1台置くだけで、家全体が快適になる総2階の事例が積み上がっています。冷房も同じで、階段や吹き抜けを空気の通り道として設計すれば、2階に何台も設置する必要はありません。

エアコンの設置台数が減るということは、本体費用も、10年後・20年後の入れ替え費用も減るということです。総2階のコストメリットは、建てるときだけの話ではありません。

なお、近年の夏は6月後半から9月前半まで冷房を止められない気候になっています。この期間を1〜2台のエアコンで賄える設計かどうかが、光熱費の差になって表れます。

「箱っぽくなる」への対策はあります

総2階は、放っておけば倉庫のような箱になります。そこは設計の腕の見せどころです。軒の出のとり方、開口部の位置と大きさ、外装材の張り分け、玄関まわりの奥行き——このあたりを丁寧に設計すれば、シンプルで端正な外観になります。

まとめ

  • 総2階は屋根・基礎・天井が平屋の半分で済み、建築費が下がる
  • 同じ断熱仕様なら暖房エネルギーは約26%減、小さな平屋比では約半分
  • 逆に言えば、壁150mm・ペアガラスでも同等性能に届き、初期費用が下がる
  • 階高を2,800mm→2,500mm台に抑えると、コストと斜線制限の両方に効く
  • 同じ面積なら、総2階の坪単価はいちばん安い

土地の形や日当たり、ご家族の暮らし方によって最適解は変わります。「うちの土地で総2階が成立するか」を具体的に知りたい方は、敷地の資料をお持ちください。配置と概算コストの当たりをその場でお出しします。