• スタッフブログ

微動探査とは?~地震に強い家づくりのために知っておきたい新しい地盤調査~

熊本地震の被害にあわれたみなさま
この度の震災に際し、心よりお見舞い申し上げます。皆様方の一日も早いご復興をお祈り致します。

近年、日本各地で大きな地震が発生し、住宅の耐震性能への関心が高まっています。
家づくりを検討されている方の中には、「耐震等級3の家にしたい」「地震に強い住宅会社を選びたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、どれだけ頑丈な家を建てても、その家を支える地盤の状態によって、地震の揺れ方は大きく変わることをご存じでしょうか。

実際に過去の大地震では、同じ地域内でも被害の大きさに差が生じた事例が数多く報告されています。その原因のひとつが「地盤の違い」です。

そこで近年注目されているのが「微動探査(びどうたんさ)」です。
微動探査は、地盤の強さだけではなく、その土地が地震の際にどのように揺れるのかを調べることができる最新の地盤調査技術です。
今回は、微動探査とは何か、どのようなメリットがあるのか、そして安心して暮らせる住まいづくりにどのように役立つのかを分かりやすく書いていこうと思います。

微動探査とは?

微動探査とは、人が感じないほどのごく小さな振動(常時微動)を測定し、その土地の地盤特性を解析する調査方法です。

私たちの周囲では常に微弱な振動が発生しています。
例えば、自動車の走行、電車の運行、風による建物の揺れ、河川の流れ、工場や機械の稼働などによって地面は常にわずかに振動しています。

微動探査では高性能な測定機器を使用し、これらの振動を記録・解析することで、地下の地盤構造や揺れやすさを調べます。
地面を掘削したり大掛かりな機械を使用したりする必要がないため、
①非破壊調査
②騒音がない
③短時間で測定可能
④既存住宅でも調査可能

という特徴があります。

微動探査で分かること

① 地盤の揺れやすさ

地震の揺れは地盤によって大きく変わります。

一般的に、岩盤に近い硬い地盤、台地の地盤は揺れが比較的小さくなります。
一方、埋立地、盛土造成地、軟弱地盤では揺れが増幅される場合があります。

微動探査では、その土地がどれくらい揺れやすいのかを把握できます
家づくりにおいて非常に重要な情報となります。

② 地盤の卓越周期

地盤にはそれぞれ固有の揺れやすい周期があります。
これを「卓越周期」と呼びます。
ブランコを一定のタイミングで押すと大きく揺れるように、建物にも固有の揺れ方があります。
地盤の卓越周期と建物の固有周期が近い場合、共振が起こり揺れが大きくなる可能性があります。

微動探査を行うことで、その土地特有の揺れの特徴を把握し、より適切な建物計画に活かすことができます。

③ 地下の地盤構造

微動探査では地下の地層構造も推定できます。
例えば、支持層の深さ、軟弱層の位置、地盤の硬さの変化などを把握することが可能です。

これらの情報は、基礎計画や地盤対策を検討する際の参考になります。

家屋の耐震性能も計測可能

常時微動探査は、地盤だけでなく住宅の耐震性を計測をすることが可能です。
既存住宅に微動計を置いて1時間ほど観測を行って、耐震補強のエビデンスとする事が可能です。新築時に観測して強度を計測しておけば、設計通りの施工により耐震性が確保されているかのチェックや、地震後や定期的な観測により、既存住宅の劣化具合を確認する事ができます。

 既存住宅に微動計を配置して1時間ほど計測し、地盤と建物の共振の確認建物の剛心の確認を行います。耐震診断を行う必要性について3段階で評価することができます。

耐震改修や制振オイルダンパー設置後の性能の確認や、交通振動にお悩みの際の調査・対策の提案も可能です。交通振動の調査では、建物の耐震性能の評価に加えて、地盤、1階床面、2階床面(3階床面)に微動計を配置します。建物と地盤の周期を計測することで、交通振動と共振しやすいかどうか評価することを目的としています。

新築住宅で微動探査を行うメリット

1. 設計通りの耐震性能を確認できる

構造計算で高い耐震性能を確保していても、実際の建物が設計どおりの性能を発揮しているかは別の問題です。
微動探査では建物の固有周期や揺れ方を測定し、設計どおりの耐震性能が確保されているかを確認できます。

2. 建物の「見えない性能」を数値で見える化できる

住宅の性能は断熱性能や耐震等級だけでは判断できません。微動探査では、次のような項目を実測できます。
・建物の固有周期
・建物の重心と剛心のバランス
・建物全体の揺れ方
・地盤との相性(共振の可能性)

これらを数値やレポートで確認できるため、住宅性能を客観的に評価できます。

3. 地盤との共振リスクを確認できる

建物と地盤にはそれぞれ固有周期があります。
周期が近いと、地震時に揺れが大きくなる「共振」が起こる可能性があります。

微動探査では地盤の卓越周期も測定できるため、建物との相性を確認し、必要に応じて制振装置などの対策を検討できます。

5. 将来の比較データとして活用できる

新築時の計測データを残しておくことで、大きな地震の後、築年数が経過した後、リフォームや耐震改修後などに再度測定し、性能の変化や劣化状況を比較する基準データとして活用できます。

6. より安心して長く住める住宅になる

耐震等級3や許容応力度計算を採用していても、「本当にその性能が発揮されているのか」と不安に感じる方もいます。

微動探査による実測結果があることで、建物の耐震性能を客観的に確認でき、住宅会社・施主双方にとって安心材料となります。

まとめ

新築住宅で微動探査を実施するメリットは、次の6つです。

①設計どおりの耐震性能を実測で確認できる
②建物の揺れ方を数値で「見える化」できる
③地盤との共振リスクを把握できる
④非破壊・短時間で調査できる
⑤将来の点検・地震後の比較データとして活用できる
⑥客観的なデータによって、より安心して長く住める住まいになる

近年は、高性能住宅や耐震等級3の住宅が増えていますが、「性能を設計する」だけでなく、「性能を実際に確認する」という考え方も重要になっています。
微動探査は、その安心を裏付ける有効な手段として注目されています。

ご興味のある方はぜひご相談ください。

清菱建設 青木