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高性能住宅の夏は「日射と夜風」で決まる ── 空調設計セミナー受講レポート

結論から言うと、断熱性能の高い家の夏の快適さと電気代は、断熱材の厚みではなく「日射をどう外で止めるか」と「夜の涼しさをどう取り込むか」で決まります。

7月7日、住宅の冷暖房・窓計画をテーマにした技術セミナー(あたらしい住まいエンジニア 第3回)を受講してきました。熱計算ソフトを使った実物件の検証が中心で、家づくりを検討中の方にも役立つ発見が多かったので、要点を共有します。

この記事のポイントは3つです。

  • 断熱性能を上げると、対策をしなければ冷房エネルギーはむしろ増える
  • 日よけは「窓の外側」に付ける。カーテンでは熱の6割以上が室内に入る
  • 高断熱の家なら、6畳用エアコン1台で家全体が冷える計算になる

高断熱の家は、何もしないと冷房が増える

意外に聞こえるかもしれませんが、これはセミナーの核心でした。断熱が良い家は魔法瓶のように熱を逃がさないため、真夏の冷房は確かに楽になります。ところが春や秋の中間期には、窓から入った太陽の熱が室内にこもり、本来冷房のいらない季節にまでエアコンを使ってしまうのです。

対策は2つ。日射を遮ることと、外気が涼しい夜に窓を開けて熱を逃がすこと(夜間換気)。セミナーで示された計算では、この2つを実践すれば、冷房を24時間つけっぱなしにしても、昔ながらの「暑いときだけつける」使い方と同等以下のエネルギーまで、およそ3〜4割削減できるとのことでした。

日よけは「外側」が鉄則

太陽が窓1m²に注ぐ熱は約1kW。500Wのドライヤー2台が窓に向かって回り続けているのと同じ量です。この熱をレースカーテンで防ごうとしても、カーテンは窓の内側にあるため、熱の60〜67%は室内に入ってしまいます。一方、すだれや外付けシェード、外付けブラインドなど窓の外側で遮れば、侵入する熱は約20%まで減らせます。

もうひとつ重要なのが西日です。真夏の午後、西の窓には南の窓と同等以上の熱が入ります。太陽の高度が下がって横から差し込むため、軒や庇では防げないからです。実際の検証物件では、南面の外付けブラインドを外すと冷房需要が約6%増える計算結果が示されていました。断熱材をワンランク増やすのと同じだけの差が、日よけひとつで生まれます。

「6畳用エアコン1台で家中冷える」は本当だった

セミナーでは、延床約45坪の高断熱住宅の冷房負荷が実際に計算されました。結果は約1,300W。6畳用エアコンの定格能力は2,200Wですから、計算上は1台で家全体が冷える計算です。「大きいエアコンほど安心」と思われがちですが、大きすぎる機種は設定温度にすぐ到達して止まってしまい、湿気を取る仕事(除湿)ができずジメジメした涼しさになります。高断熱の家ほど、小さなエアコンを止めずに動かし続けるのが正解です。

夜間換気にも具体的な条件がありました。常時開けておける窓が合計2,000cm²(幅120cm×高さ30cmの窓2枚程度)あれば効果は十分で、それ以上開けても効果はほぼ変わらないそうです。ただし7〜8月は夜も外気が25℃を下回らないため窓開けは逆効果。有効なのは6月と9月以降です。

まとめ

家の性能が上がった今こそ、日よけや夜風といった昔ながらの知恵が、最も効率よく働く時代になった ── これがセミナー全体を貫くメッセージでした。設計の段階で「日射をどう止めるか」「どの窓を開けて暮らすか」まで計算しておくことが、夏の快適さと電気代を左右します。

当社でも、こうした計算に基づく窓計画・日射遮蔽を設計に取り入れています。ご自宅の夏の暑さにお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

出典:「あたらしい住まいエンジニア」セミナー第3回(2026年7月7日受講)。数値は講義内の熱計算シミュレーション(PHPP)によるもので、建物条件により変動します。